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2021.03.16 / 中藤 貴雄 省エネのその先へ おうちコラム vol.43

本日は久々にベースキャンプ的なスポットからこの記事をお届けしています。
ブログ&ネクサス通信愛読者なら既にお察しかと思いますが‥つまり、記事原稿を書くスイッチを入れるため、いつものBARにいるという事です(^ ^;)
 
ほんのり灯る蝋燭のあかりの中でジャズを聴きながら記事を書く。
 
こう書くと、お洒落で贅沢な時間を過ごしているようですが、とどのつまりは諸々の情報をシャットアウトして、静かな場所でないと集中できないだけの事なのです‥(・ ・;)
今回も敢えて書きますが、我ながら面倒な性格です_| ̄|○
バー

 

そんな事はさておき、皆さんは「住宅の省エネ基準適合義務化の先送り」というワードを覚えていますでしょうか?
「CHLおかやま」の活動 おうちコラム vol.37に、『2020年の春からは“平成28年度省エネ基準に適合した住宅”しか建てられない』という法律が施行される予定だったのに、直前になって先送り(事実上撤廃)されたという記事でご紹介しました。
 
改めて整理しますと、2020年4月からは最低限の基準として、“省エネ等級4 (平成28年度基準)”を満たさない建物は建築確認が下りない、つまり建てる事が出来ない。
これを業界では「2020年問題」と言います。
 
しかし、直前の2019年10月に本法律の一部が改正されることになり、「適合義務」ではなく「説明義務」に止まることに。
理由は「今、施行すると建築業界に混乱が生じる」や、「審査する側も体制が整っていない」などというもの。
そもそもこの「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」は、パリ協定で議決された目標を達成するために2019年5月に国会で成立したものですが、僅か5か月足らずで方向転換。
事実上、日本は地球温暖化対策について交わした世界との“約束”を放棄したようなものです。
 
ではその「説明義務」とは何なのか、内容を簡単に解説します。
「改正建築物省エネ法」では、2021年4月1日以降に設計契約を交わす物件(住宅規模)については、建築士はその物件が“省エネ等級4”に適合しているかどうかの説明をしなければならない、という義務が課せられます。
 
例えば、
「今回設計したあなたの家は省エネ等級4を満たしています。」
「今回設計したあなたの家は、省エネ基準を満たしていません。基準を満たすためには別途費用負担が◯◯円ほど掛かりますがどうされますか?」
 
あるいは、
「計算なんかするとお金が掛かるばかりだし、そんなことしなくても問題ないですよ。説明いります?」と聞かれ
「いや、要らないですよ!」
と答えてしまうと、我が家の実状すら説明されない、知る事ができない事になるのです‥(-。-;
つまり、最低基準である“省エネ等級4”を満たさなくても、そのことを説明すらしなくてもいいのです。
こうやって、建築コストのアップや知識の有無といった建築会社側の都合で、エネルギーを垂れ流す住宅が今まで通り建築されていくという訳です。
 
弊社が家づくりのお手伝いをさせていただくときに必ずお伝えする事があります。
それは、「我が家の快適レベルは、同じように新築した友人知人の家に遊びに行ったときに明確になる」という事。
アパートや古い借家からの転居の場合は当然ながら快適に感じるでしょう。
しかし温熱環境についてきちんと考えて建てられた建物を体感すると、同じ新築でもビックリするくらい性能の違いが解ります。
 
「最近の住宅は何も言わなくても当然快適に造られている」と思っている方も少なくありません。
基準を満たしていないという事がどういう事なのか、“暑さ寒さで後悔しない家づくり”のためにも建築主(施主様)がきちんと理解している事が重要なのです。
 
私たち一人ひとりに出来る省エネのその先には、大きな大きな地球の未来が託されているのです(^ ^)

 
 

ここへ来て一筋の光も!
 

先般の所信表明演説で菅内閣総理大臣が発した、「2050年までにカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量ゼロ)を目指す」という宣言を受けて、トヨタ自動車は2050年までに対2010年度比でガソリン車を90%削減する計画を発表したり、河野太郎規制改革担当大臣の下に設置された「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」においては、環境工学や建築に携わる有識者の意見を踏まえ、「国交相(役人)が出来ないというのであれば、出来る者にやらせるまでの事、皆さんのお話を聴いてやるべき事が明確になりました。」と、地球温暖化に対する住宅の温熱環境など、建築部門が担う地球規模の取組みの重要性に大きな理解を示し、その数日後には赤羽国交大臣がそれに足並みをそろえる認識を表明。
 
とはいえ、改めて法整備や各部門の調整などを考慮すると、新たな建築物省エネ法が施工されるのは早くても3年から5年後‥。
その時には省エネ等級の最低基準値の引き上げも想定され、今まで消極的だった前政権と比較すると驚くほどのスピードで動き出そうとしています!