2020.11.20 / 中藤 貴雄 リスペクト
秋の観光シーズンを迎え、Go to travelキャンペーンも後押しする形で少しずつ動き始めた感のある2020年。
先日、今後のスポーツ界の方向性を左右する“ある大きな決断”がなされました。
それは「全国高等学校サッカー選手権大会」の開催。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、センバツ高校野球やインターハイ、夏の甲子園など、春以降のスポーツはことごとく開催中止を余儀なくされてきました。
この全国高校サッカー選手権・岡山県大会は、60校にも及ぶ高校サッカー部が負けたら終わりのトーナメント形式で全国大会を目指し行われます。
今年の春、新チームになって直ぐに開催された岡山県高校サッカー新人大会の上位4チームである県立玉野光南高校、私立学芸館高校、私立作陽高校、私立就実高校はシード校としてベスト16からの登場。
4チームとも順当に勝ち上がり、去る10月25日、運営する岡山県サッカー協会の徹底した感染予防対策のもと、岡山県大会準決勝が行われました。
特に玉野光南高校vs学芸館高校は、今年の新人大会の準決勝戦のカードで玉野光南高校が制し、昨年の本大会の決勝戦のカードでもあり学芸館高校が制するという、特に永年岡山県の高校サッカー界を牽引する因縁の対決なのです。
試合開始から終始、一進一退の攻防を繰り広げ、前後半80分を闘い抜いて0-0。
そのまま延長戦に突入するも、両校譲らず0-0でPK戦へ。
それぞれのキッカーもゴールキーパーも、最後の力を振り絞り、勝てば全国大会への希望を繋ぎ、負ければ3年間、もっと言うと小学生からの12年間のサッカー人生に終止符を打つ事になる極限のプレッシャーの中、最後まで勇気と覚悟を持ってピッチに立ち続けた22人。
まさに死闘‥。両チームともそれぞれ9人ずつが蹴り、意地を見せ合い、結果はPK 7-6で学芸館高校が準決勝を制しました。
現在1年生ですが、私の息子は玉野光南高校サッカー部に所属し寮生活をしています。
息子が入学してから今日まで、色々な話を聞いてきました。
現在の3年生によるサッカー部内の先輩後輩の関わり方の改革や、同じく寮内での改革。
彼らは過去の自分たちの経験から、「サッカーという同じ目的を持ち、切磋琢磨し、意思疎通やリスペクトが不可欠なスポーツであること。」「初めて親元を離れ寝食を共にする後輩たちが、家に帰りたくなる様な寮にしてはいけない。」と、後輩たちを“大切な弟”、“大切な仲間”として接する環境を整えたそうです。
今回の敗戦後、「先輩たちには全国に行ってほしかったな‥」と呟いた息子の言葉が“リスペクト”の精神を体現してきた3年生の偉大さを物語っているように感じます。