思いのままに暮らす家
価値観や選択肢が多様化する今、人生の半分以上の時間を共にする住まいのカタチも整えていきたいもの。
『一般的な企画住宅や建売住宅は4人家族が基本のプランになっていて、自分の暮らしには合わない…』
最近はそういったお声もよくお聞きするようになりました。
そんなニーズを形にしようと企画しプランニングした “思いのままに暮らす家” 。
単身での暮らしや二人暮らしをより快適に、自分たちらしく住まえるよう間取りや動線・空間に配慮した1.5LDKの住まい、2人暮らし専用のプランです。
しかしむやみに計画を進めると、家の前を通る車や人の視線が気になってカーテンすら開けることが出来ない状況にもなりかねない難しい立地であるとも言えます。
これは南に道路がある敷地に限らず東西南北どちらに開いていても同じで、それぞれ立地には一長一短があり、その立地条件を上手く読み解き”プラン”に起こしていく必要があります。
住宅密集地でもカーテンを開いてしっかり太陽の熱や光・風を取り込める『思いのままに暮らす家』は、心地よく快適な空間で仕事や趣味の時間を大切にしたいと考える方に最適なプランです。
冬は陽射しを取り込み部屋を暖かくし、夏は陽射しを遮断して部屋の温度上昇をできるだけ抑えられるように軒と庇で調節し、それでも遮れない陽射しについてはアウターシェードで遮蔽できるように設計しています。
寝室はリビングに直結させ、寝室の奥には大容量のウォークインクローゼットも完備。
テレビの裏からは2階に設けたフリールームにアクセスできます。
冷蔵庫や調理家電、ゴミ箱などは隣接したコンパクトなパントリーの中へ。
さらにその奥は洗面スペースや脱衣室を兼ねたランドリースペースへ繋がっていて家事導線もシンプルです。
例えばお気に入りのキャビネットを置いて小物を飾って自分色に仕上げたり、ワークデスクを置いて在宅ワークや読書を楽しんだりとアレンジは自由自在。
好みの変化や暮らし方によって自分たちに合った使い方を楽しめます。
LDKの中にありながら、天井を低くしあえて少し奥まらせることで生まれる適度な”籠り感”が、ダイニングキッチンを居心地の良い特別な空間にしてくれます。
キッチン左には寝室へ繋がる引戸を、TVウォールの端の扉奥には物入を配置。
モデムやWi-Fiなどは全てこの物入内に集約することで、ごちゃ付きがちなTV周りをすっきりさせることが可能です。
お出かけ前や帰宅時のちょっとした瞬間に好きなものに触れたり愛でることができる場所があることも、快適に暮らす大切な要素だと考えます。
また、玄関とLDKの間には熱の移動を妨げないようあえて扉を設けず建物全体の温度差を少なくできるよう配慮しています。
シューズクロークはもちろん、キャンプグッズや季節家電、日用品などあなたの暮らし方に合わせて使用目的は自由自在。
床材にフロアタイルを使用することで収納物による万が一の床汚れもさっと一拭きでキレイを維持できます。
扉を閉めれば来客時でも気になりません。
洗面室を中心に右側にトイレ、左側に脱衣兼ランドリールームが並びその奥の浴室へと続きます。
玄関からのアクセスも良く、帰宅後に直接洗面室へ向かうことも可能です。
洗面台は幅1.2mを採用し、鏡の裏側に小物収納を備えた3面鏡と合わせて散らかりやすい洗面周りもスッキリ。
周囲を囲む壁(パッシブウォール)は、外からの視線を遮りながらしっかりとカーテンを開けることが出来るように配置しています。
ただしむやみに高くしすぎると冬に窓から得られる日射取得(太陽熱の取得)に影響が出るため注意が必要です。
また、南側の道路の幅員やその先の隣地の位置や高さによっては窓からパッシブウォールまでの距離と高さをしっかり検討し、その土地のとって最適なディテールを導き出す必要があります。
1.カーテンを開けて過ごせるよう中庭の周囲には高さ1.8mの壁(パッシブウォール)を設けました。外部の視線を遮りながら窓の外にある空や植栽から四季を感じられ、暮らしを益々豊かに彩ってくれます。
2.お料理の時、お食事の時、お仕事の時。シーンによって様々な使い方が出来る収納兼カウンターは、そこにいる時間を楽しんで欲しいから中庭を眺めて座れる特等席に配置しました。
3.リビングの隅の「余白」は、お気に入りのキャビネットを配置したり、デスクを置いてワークスペースにしたり。その時々の暮らし方に応じて、自由なアレンジを可能にします。
4.玄関からパントリーへ直行できるので、食料品を沢山買い込んだ時も、忙しい朝のゴミ出しもラクラク。日々の負担を減らします。
5.ゆったりとした幅1.2mの洗面台。洗顔やお化粧、洗濯物の予洗いをする時にも何かと便利なサイズで、ストレスなく使えます。
6.脱ぐ→洗濯→干す→畳む→普段着の収納まで一室でできる脱衣兼ランドリールーム。空気の流れを作るため、2方向に窓を配置。通路と物干しが干渉しないのも嬉しいポイントです。
7.2階にはフリールームを配置。色々な使い方ができる「余白」となる一部屋があると生活スタイルが変わった時にも安心です。
【思いのままに暮らす家:建物概要】
・1階床面積:63.76㎡(19.28坪)
・2階床面積:8.69㎡(2.63坪)
・延床面積:72.45㎡(21.91坪)
・UA値:0.44W/㎡K
・Q値:1.86W/㎡K
・ηAc値:0.9
・ηAh値:1.8
・μ値:0.033
・C値:0.50㎠/㎡(想定)
・耐震性能:耐震等級3(最高等級)
・耐風性能:耐風等級2(最高等級)
※躯体・基礎 構造計算
※想定敷地面積:165.00㎡(49.91坪)
※建築可能敷地面積は建築地の建ぺい率によって異なります
【設計者の思い】
2人での暮らしをベースにプランニングしていく中で『1室では少し足りない』、『2室までは必要ない』といった課題が生まれました。
住まう人それぞれが出来る限りストレスなく自由な発想で暮らせるか、そんな課題をどんな形で解決をするかを熟考し、例えば1階の寝室+書斎、または趣味室、あるいは納戸といったように柔軟な使い方の出来る+αの部屋を備えた”1.5LDK”というボリュームで構成しました。
基本的にワンフロアで生活でき、外観も平屋の様に低く抑えたゆったりとした印象を与えつつ+αの余白も持たせた2人での暮らしには丁度良いサイズの住まいです。
南にリビングを設けていますが、壁で囲われているのでオープン外構でも外部からの視線が気になりません。
忙しい毎日の中でも家事の時間を減らすことで自分の時間をしっかりと確保できるように、スムーズな家事動線に拘りました。
また、時間の経過と共に変わっていく暮らしや考え方に合わせて、家の使い方も柔軟に変えていけるように色んなところに「余白」を設けているのもこのプランの特徴です。
「余白」には暮らしの中で自分たちに合った新しい使い方を発見しながら、永く楽しんでいただきたいという意図があります。
固定観念に囚われず、あなたらしく、自分たちのスタイルで、思いのままに暮らして頂けると嬉しいです。