常住寺三千佛堂
耐震構法SE構法×伝統的な技法で実現した「当たり前ではないお堂」
三千体もの木端佛(こっぱぶつ)を安置する大壁面を確保するため、SE構法を採用しました。
安心・安全な新しい技術と、伝統的な技法で創り上げたお堂をご紹介します。
むくり屋根に銅板一文字葺き。
壁には、KMEWのSOLIDO typeM_LAP(鉄黒)を採用し伝統的な「鎧張り」をイメージし、常住寺全体の景観を損なわないデザインに仕上げました。
洗い出しの床面・格子窓・照明は和風ですが、ランダムに貼られたレッドシダーを採用することによりモダンでありながら和と調和した落ち着いた印象になっています。
3方向の壁にずらっと並ぶ木端佛は、まさに圧巻。
耐震構法SE構法だからこそ実現できた、縦6m×横6m×軒高さ4.3mの柱のない大空間。
天井には、レッドシダーを配し艶を持たせ、壁面には、マットな質感のKMEWのSOLIDO typeM_FLATを配し、木端佛の背景を引き締めた。
・構 造:SE構法
・屋 根:むくり屋根銅板一文字葺き
・軒 板:軒裏桧羽目板
・外 壁:KMEW SOLIDO typeM_LAP(鉄黒)・一部漆喰塗り
・1階床面積:45.54㎡(13.7坪)
・延床面積:58.15㎡(17.59坪)
・軒 高:4.3m
・天 井 高:3.675m
・柱間寸法:6.37m
・耐震性能:耐震等級3(最高等級)
・耐風性能:耐風等級2(最高等級)
※躯体・基礎 構造計算済み
今回のプロジェクトを進めるうえで、「当たり前ではないお堂」というキーワードを頂き、常住寺の歴史を後世に伝えるための場所として、老若男女問わず1人でも多くの方々に足を運んでいただけるミュージアムのような空間をイメージしました。
躯体は、耐震構法SE構法の採用により6.37m×6.37mの無柱空間を実現。
屋根は銅板一文字葺きむくり屋根とし、社寺建築の風景を邪魔しないシンプルな外観に仕上げました。
外壁にはKMEW SOLIDO typeM_LAPを採用、上部は漆喰塗りとし外観の趣を損なわず、今回のプロジェクトのコンセプトでもある「新旧融合」を表現。
ポーチ壁・内部天井に艶感を配したアメリカンレッドシダーを使用し、叩き彫り佛の背景になる内壁にKMEW SOLIDO typeM_FLATを採用することで、叩き彫り佛の木の風合いが引き立つよう全体の雰囲気を引き締めました。
魅せるという視点から、間接照明やスポットライト、ダウンライト、ピンスポットを取り入れ、光の演出も行っています。
内外観とも本来”和”であるべき空間に、”現代の素材”をあしらった事で、重々しくなり過ぎず若い世代にも馴染みやすい和風建築になったのではないかと思います。
また、今回の試みは建築費についても大幅なコストダウンに繋がるため、檀家の減少や拝観者の減少に頭を抱える寺院にとっても再建に寄与する方法の一つとして事例になればと思っています。