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2023.02.09 / 中藤 貴雄 温暖な地域の落とし穴 おうちコラム vol.61

先日全国で交通網に甚大な影響を与えた1月下旬の大寒波。
皆さんは大丈夫だったでしょうか?
特に県南では日頃から積雪や道路の凍結に対応する習慣が無いため、大きな影響を受けやすくなりますね。
万が一の時に出来る限り冷静に対応できる様、冬になる前にしっかりとした準備が必要です。
 
さて、今回のおうちコラムのタイトル、『何だ何だ?』と思われた方も多いと思います^ ^
実はこれ「ヒートショック」の事なんです。
 
最も寒い北海道より、比較的温暖な地域の方がヒートショック発生件数が多いという事をご存知でしょうか?
下の図は高齢者の入浴中心肺停止状態発生 (CPA)件数を表したグラフです。
 

都道府県別ヒートショック
 
左に行くほど多く右に行くほど少ない事を表しています。
1番右端の沖縄県は冬も平均気温が18℃前後、他の都道府県と比べると断トツに温暖な気候なのでやはりCPA発生件数も最も少ないです(^^)
そして意外にも2番目が“最も寒い地域”である北海道、逆に最もCPA件数が高いのが意外にも温暖な地域に位置する「香川県」なんです。
他にも、青森県や宮城県も意外に少なく、暖かな地域とされる兵庫県や和歌山県、愛媛県は意外にも多い事が分かります。
 
ではこのグラフが示すものは何なのか?
 
それは正に建物の断熱性能によるものなんです。
例えば北海道。
『家のつくりやうは夏を旨とすべし』とされていた日本の家づくりにおいて、北海道の実態に即さない事から昭和28年に「北海道防寒住宅建設等促進法」が制定され、そこから北海道独自の発展に繋がったそうです。
言うまでもなく冬の寒さが厳しい地域です。
だからこそ暖かい家づくりが常識となった事で、ヒートショックの発生件数の減少に繋がったと言えるでしょう^_^
 
一方、比較的温暖な地域の家づくりは前出の『家のつくりやうは夏を旨とすべし』が基本。
『夏の暑さは耐えられないので涼しい家を作りましょう』と言う発想です。
そのため住まいの寒さ対策に重要な断熱性は軽視され現在までに至ります。
 
しかし…いくら温暖地といえど真冬は凍えるほど寒いのです。
当たり前ですが、寒いと皆んなの集まる居間や台所を暖房します。
そもそも断熱性の極端に低い家なので、居間などから輻射や気流により廊下や洗面所に伝わる熱も冷え切った床や壁に奪われてしまい暖まりません。
そのため暖房している部屋以外は極寒となり、酷ければ15℃を超える温度差となってしまうという訳です。
 
つまり、前出のグラフが示すものとは、それぞれの地域性や過去の住宅建築の考え方に即した結果と言えるのかもしれません。
「冬の住宅の寒さ」と「健康」との関係性が見直され始めたのはまだまだ最近のこと。
耐震性能もそうですが、断熱性能は家づくりの中でも命を守る重要なファクターです。
そのあたりをも十分理解して、より快適な住まい作りを進めていきたいものです(^^)