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2022.09.12 / おうちのコラム 地震に弱い家の共通点とは? おうちコラムvol.56

「地震に強い家」。
周辺海域も含め、大小合わせると1年間でおおよそ5,000回近くの地震が発生している日本では必ずクリアしておかなければいけない条件です。
しかし、木造で建てられる割合の多い住宅の場合は“あること”が特に大きく影響することがあるので注意が必要です。
今回はそんな「地震に弱い家の共通点」についてお話ししたいと思います。
 
家づくりを考え始めると、ほぼ全員の方が気になるのが「間取り」です。
『リビングは〇〇帖ほしいよね』
『脱衣室は広くしたい』
『パントリーはここに欲しい』
などなど、ご自分たちで間取りを考えるのも楽しいものです。
 
しかし、一番注意が必要なのが実はその「間取り」。
間取りの計画そのものが耐震性を弱くする大きな原因となります。
木造の建築物は、 “柱”と“耐力壁”と“水平構面”で成り立っています。
 
◉ 柱・・・・・建物の自重などによる垂直方向にかかる力に耐える。
◉ 耐力壁・・・地震や台風などによる水平方向にかかる力に耐える。
◉ 水平構面・・建物が捩れようとする力に耐える。
 
簡単に言うとそれぞれの役割はこんな感じ。
その内、特に間取りによって大きな影響を受けてしまうのが柱と耐力壁の“位置”なんです。
 
例えば、2階建の場合、2階の柱と1階の柱の位置が一致する割合のことを「柱直下率」と言い、この割合が高いほど効率よく垂直方向の力を地面に伝える事ができます。
柱直下率と同じように、2階の壁と1階の壁の位置が一致する割合を「壁直下率」と言い、この割合が高いほど水平方向の力を地面に伝える事ができます。
 
つまり、1階の間取りによる柱や壁の位置と、2階の間取りによる柱や壁の位置のズレが大きくなると「柱直下率」も「壁直下率」も低くなってしまい、自重や地震等による力をきちんと地面に伝えられなくなり倒壊や崩壊の可能性が高くなってしまう訳です。
 
もう一つ、和室(上座と下座の続き間)の南面に広縁を設けその境は壁では無く障子が並び、広縁の外部側も壁は無く一面に掃き出し窓が並ぶように作られた昔ながらの日本家屋。
このような間取りの場合、ほとんどのお宅で北面にトイレやお風呂・脱衣室などといった小さい部屋が並びます。
その場合、必然的に柱や壁の多くなる北側は耐える力が強くなり、南側は極端に弱くなるというように平面的な剛性のバランスが偏ってしまうことで倒壊や崩壊に至ってしまう可能性が高くなってしまいます。
 
新耐震基準で作られた建物であっても、耐震等級2や3の建物であっても、施工不良だったものを除けば倒壊や崩壊の原因はおおよそこの2つ。
こういった事にならない為にも、間取りはとても重要な検討事項なんですね。
とはいえ、マイホームの夢実現のためには間取りがとても重要なのも事実です。
そんな時は耐震性・構造安定性の高い構法を選ぶことも効果的。
併せて必ず構造計算を行い安全を確かめましょう。