2023.12.28 / おうちのコラム 気密性能(C値)ってなに?
家づくりについて具体的に考え始めると色んな単語が耳に入ってくるようになりますよね。
その一つに『C値(シーチ)』というものがあります。
C値とは、簡単に言うと「建物にある隙間」を数値化したもの。
もう少し具体的に言うと、「家全体の外気に接する面〔外皮:壁や屋根(天井)、床(基礎)〕に1㎡あたりどのくらいの隙間があるかを測定し数値化したもの」となります。
普通に考えると隙間は大きいより小さい方が良い、感覚的にもそう思いますよね。
もちろんその通り、なのですが…。
ではこの隙間、何のために小さくする必要があるのでしょう?
冬に隙間風が入ってきて寒くなるから?
確かにそれもあります。
しっかり隙間を塞げていないお家の場合、壁の中や床と壁の境目などを通じて壁のコンセントボックスやスイッチ、分電盤などから、または直接部屋の中に外気(外の冷たい空気)が入ってきます。
手で触れるスイッチや足元にあるコンセントボックスからの隙間風は結構不快に感じます。
きっと一度は皆さんも体感したことがあるんではないでしょうか。
隙間を小さくすると、このような事象も大幅に改善されます。
ただ、隙間を小さくする本当の目的は別のところにあるんです。
住宅の場合*1、家具等からも放出される可能性のある室内の有害なホルムアルデヒドや、住まい手から呼吸から排出される二酸化炭素の濃度を下げるため、2時間に1回(1時間に0.5回)居室全体の空気を入れ替える必要があります。
ちなみに二酸化炭素濃度が高くなると下図(図1)のような症状が現れます。
【図1】出典:日本住環境株式会社HP
そのため下図(図2)のように計画的に24時間、換気をし続ける必要があるのですが、隙間が多いと本来空気を取り込むべきところから取り込めなくなり計画的な換気が出来なく(図3)なってしまうんです。
※計画換気図
【図2】出典:東芝ライテック株式会社HP
※➡隙間による漏気、〇換気不良部分
【図3】出典:東芝ライテック株式会社HP
例えばストローでジュースを飲もうとした時、針で複数の穴をあけたストローだとジュースが吸えなくなってしまうのと同じ原理です。
隙間を小さくすることは、計画的に換気を行い空気汚染による健康被害を無くすため最も重要な作業なのです。
C値については、高気密住宅とされる数値的な基準はありません。
あくまでも「冬暖かく夏涼しい、健康的な住まい」をお客様にお届けしようとする我々工務店を含む全国団体等が様々な検証を重ねて『1.0㎠/㎡以下が妥当』といった目標を定めています。
実際にC値の変化における室温への影響を「室温シミュレーションソフト」を使って見てみても、1.0㎠/㎡を下回ると室温に大きな影響を与えない事も分かっていますが、経年的な劣化等も考慮して弊社では社内ルールとして0.5㎠/㎡以下を基準としています。
(自社平均0.3㎠/㎡前後)
隙間を小さくするにはしっかりとした知識と、とても細かな作業が必要です。
また、直接的に気密工事を行う大工さんだけでなく、水道屋さんや電気屋さん、断熱屋さんや太陽光発電関連の業者さんなど、家づくりに関わる全ての人が気密の重要性や施工方法を認識していないと良い結果にはなりません。
大切なのはC値がいかに小さいかという視点ではなく、この家は「丁寧で意識の高い職人が作っている家」かどうかといった視点で見ることだと思います。
*1.住宅以外の建物の居室部分(常時人が居る部屋)にも適用されます。