2017.01.12 / 中藤 貴雄 “性能”は一見に如かず
昨日、東京都品川区にある「YKKap体感ショールーム」に視察に行ってきました。
ここは窓メーカーのYKKapが運営する施設で、窓の性能をさまざまな角度から検証・展示していて、
カタログ上の数値では解らない断熱性や遮熱性、遮音性などを実際に見て触って
体感できる全国で唯一の大規模なショールームなのです
先ずは「断熱性能体感ROOM」を見学。
冬を想定し、-5℃~0℃に設定された大型冷蔵庫の中に、室温を22℃に保たれた5つの部屋があります。
その5部屋、それぞれ直接エアコンで暖房されている部屋と、隣接する無暖房の部屋で構成されていて、一般的な住宅の居室と脱衣場をイメージされています。
間取りや窓の配置は全く一緒なんですが、断熱性能(断熱材の種類や厚み、窓のガラスやフレームの素材)がすべて違います。
簡単に言うと
Ⓐ昭和55年基準 ・・・現在の既存住宅の約70%がこの性能。
Ⓑ平成25年基準・・・2020年から住宅を建てる際には必ずクリアしなければならない性能。
Ⓒ推奨仕様Ⅰ ・・・YKKapが天井と床の温度差を少なくできると考える性能。
Ⓓ推奨仕様Ⅱ ・・・Ⓒよりさらに性能の高い窓を設置した仕様。
Ⓔパッシブハウス仕様・・・YKKapが軽井沢に建設している断熱先進国ドイツの基準に近いの性能。
といった感じ。
Ⓐの部屋は、室温を22℃にキープするためにエアコンはフル稼働!
足元も冷たく、素足でずっと居るのはかなりキツイ・・・
窓際は室温より10℃近く低く、アルミサッシのフレームは5℃
無暖房室に至っては、なんと室温9℃
つまり、日本の7割の住宅では冬は暖房器具をフル稼働。
電気代も高くつきます
そして、22℃のリビングから9℃の脱衣場で服を脱いで熱いお風呂へ・・・。
この大きな温度差が心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こします。
いわゆるヒートショックですね
年間14万人 の方がヒートショックで亡くなっています。
交通事故で亡くなる方が約5千人ですので、いかに危険な状況かが分かりますよね
そして、意外だったのが平成25年基準。
寒い
Ⓐより若干マシかなぁ・・・って感じ
『基準をクリアしてますよ』ってだけの最低レベルでは性能はあまり感じられませんでした。
つまり、最低でもⒸ、いえ、Ⓓの仕様まで性能を上げていかないと、住み心地と住まい手の健康は護れない事が解りました
実際にこうやって体感してみると、カタログや決められた数値では解らなかったことが見えてくるんですね
これでまた一つ、皆さんに最良のご提案ができそうです
では続きはまた次回
※体感ショールーム内は撮影が禁止されていましたので、添付の写真はYKKapのホームページより引用しています。